最高学府はバカだらけ、か?じゃあ、陰謀論は…(笑)

先日、本屋をブラブラしているとすごいタイトルの新書を見つけた。教育系ライター・
石渡嶺司さんの『最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情』だ。

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書 318)
石渡 嶺司
光文社 (2007/09)
売り上げランキング: 214
おすすめ度の平均: 4.0
5 いやぁ、快活!
3 大学の一側面を理解するための参考に

「大学はアホっぽく、学生はバカばっか」

こんな一文から始まるこの本はタイトルに応答する辛辣な「大学」を巡る事情を詳らかにする。
その業界に入ってわずか半年足らずな僕はこの本が対象としている「受験生/大学生/社会人/
保護者・高校教員/大学教職員」という五者のなかで最後者に属するのは間違いないながら、
どちらかといえば社会人的な視点、つまり著者の言う「今の大学・大学生を知るための知的
読み物」という視点でこの本を読んだような気がする。いや、それじゃあいかんのはわかっている
わけですが、まぁ必然的に。

砂上の楼閣な大学という場所の特殊性は徐々に「あー、こういうところね」とわかっては来た
ものの、どうやら僕の職場は、良くも悪くも「人間的」な場所であるようで「新入社員」な
僕にはまだまだ「へぇ〜、ほぉ〜、まぁ〜」な世界であるからかもしれないけれど。
同時にこの感覚はこの間隔で保っておかなきゃいかんなぁとも思ったりするわけです。

全入時代に突入し、サバイバルまっただ中の大学業界でこの本で書かれていることは至極
まっとうで「その通り!」と膝を打つことしきりなわけですが、ただひとつきになるのは、
大学や家庭、高校教育、文科省などの複合的な問題であることはよくわかるのですが、
その上で生まれた「バカ学生」というのは、別に今だけのことじゃないんじゃないかなぁとも
思うわけです。

よく「『近頃の若い者は…』発言批判」などがありますけど、あれと一緒で、昔だって
バカ学生ばっかりだったぜ!と自分の学生時代を振り返り反省しながら思うわけです。
90年代後半からのインターネットの登場による社会変化を頭に入れてなお、自分を
よいしょと振り返ってみると、逆に今の学生の方がマジメだと思うところがたくさんあります。
もちろん、その「マジメ」がバカなんだよなぁと思う部分もありますが、それもまた同じ。

そんなことを思いながらも、関係者としてこの本に書かれていることをよくよく考えて、
業務に当たらなきゃいかんなぁと思うところもたくさんあります。大学の情報公開と
広報機能の強化というのは確かにその通りですね。その意味で、タイトルに違わず、
なかなか面白く読ませてもらいました。

大学関係者はもちろん、是非いろんな人に日本の高等教育を考えてもらうためにも
手にとって欲しい一冊ですね。とりわけ、「第四章 大学の情報公開をめぐる二つの講演」は
誰でも淡くって倒れること間違いなしです。この人らもバカだな、間違いなく(笑)。

このホントはまったく関係ないんですが、某国立大学の理系教員のブログ9.11に関する
エントリー
で「陰謀論」をめぐる議論がされています。これ、いろいろと諸説ありますが、
いわゆる陰謀論者の「おもしろさ」には笑ってしまいます。ブログ主の誠実な対応には
本当にご苦労様といってあげたい気持ちで一杯です。NGOとか市民運動に関わっていると
こういう人たちと出会ったり出会わなかったりします(笑)。いや、ほんとこの議論の
噛みあわなさは人ごとではありませんねぇ……。