不可視化される貧困
暑かった。いや、言わなくても日本にいる人は十分承知だということは分かるのだけれど、
言わずにはいれない暑さだった今日。夏の代名詞のひとつ、夏の甲子園大会で無事、
広陵は東福岡に快勝。とてもとても申し訳ないのだが、野球の質がまったく違った。
これは仕方ない。ついでにカープも巨人を3タテ。ありがとう。あとアビスパが勝てば言うこと
なしだったのだけど、残念ながらドロー。でも暑いなか、よく頑張ったなぁ、みんな。
僕も暑い中、しかたないのでとりあえず読書。生田武志さんの『ルポ最底辺―不安定就労と
野宿』(ちくま新書)を読了。
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ホームレスや野宿者、フリーターといった、いわゆる「国内の貧困問題」は門外漢なために、
本当に学ぶところが多かった。ルポタージュであるこの本だからこそ、受ける衝撃というのは
大きかった。「不可視化される貧困」という言葉が重い。
国際協力という場所に少なからず関わっているものとして、この本の重要な舞台である釜ヶ崎
の結核罹患率がカンボジアや南アフリカよりも2倍近く高く「世界最悪の感染地」と呼ばれている
ということ(p.28)や、日本の野宿者の医療問題にも関わっている国境なき医師団のメンバーが
言っていたという「大阪の野宿者の置かれている医療状況は海外の難民キャンプのかなり悪い
状態に相当する」、大都市の中の「第三世界」という部分(p.117)は、少なからず衝撃だった。
直接的にできることは限られるが、それでもこの「不可視化される貧困」、つまりは構造的貧困の
問題は、途上国の抱える問題とも大きく共有できる部分である。それは「構造的」であるが
ゆえに、僕たちの日々の生活の積み重ねの上に積み上げられたものだ。その歪んだ積み重ねを
それぞれの場でひとつずつ丁寧に取り除き、積み重ね直す作業を続けなければならない。
そのためにも是非一読を勧める。全国の高校生以上には是非とも手にとって欲しい一冊だ。
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多くの人に読んで欲しいです
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