おもしろおかしくナナメに〜しりあがり寿『ゲバラちえ子の革命的日常』

 金曜日に生協をブラブラしていると…発見しました。しりあがり寿の『ゲバラちえ子の革命的日常』。先月末に発売されていたのですが、引っ越しもあって、すっかり忘れてしまっていてようやくのゲット。「ゲバラ」という言葉にも惹かれるものがあるんですが、それ以上に「革命的日常」という言葉遣いがどーにも素晴らしいわけです。

ゲバラちえ子の革命的日常
しりあがり 寿
中央公論新社 (2007/04)
売り上げランキング: 64415

 とにもかくにもさすがしりあがり寿。もともと連載されていた「婦人公論」の空気感を察してか、主人公「ちえ子」が主婦であることはもちろん、生活感いっぱいに「革命的日常」を生きる姿が、帯にあるとおり「アットホームな革命家」を体現しているわけですね。何より、その「革命的日常」が笑えるわけで。

 もうそれは第1話「蜂起前夜」にすべてが凝縮されています。世の中のいろんな不安を前に、主人公「ちえ子」は「革命を起こして安心できる社会をつくるのよーっ!」と叫びつつ、結局「いやーおいしいもん食べるとシアワセで革命なんかおこす気なくなっちゃうもんなー」なんていうチクチク諷刺に満ちた話からこの1冊の彼女を通したナナメなしりあがり寿の姿が見えておかしいわけです。

 わずか見開き2ページで全129話続く、ちえ子の革命的日常。おもしろおかしく社会をナナメに彼女と一緒にぶった切りながら読んでください。でも、実際のところ、「革命だ!」と叫ぶ彼女がいちばん「ふつう」だなぁと思うのは、これまた著者の筆力なんでしょうね。