無責任さと一途な思いと曖昧さと混乱

tvbros33_16.jpg もう今年も3月。あっという間に今年が終わってしまうそうな気がします。相変わらずドタバタしていますが、大切なことは何もできていない気も。もっとちゃんと向き合わなければいけません。

 帰りにコンビニに立ち寄ると変なオッサンがこっちを見てました。高田純次のおいさんです。薔薇を抱えた紳士はパッと見は雑誌『レオン』な雰囲気を醸し出すのですが、よく見ると顔に昔ながらの書き込みをした高田純次。いろんなことを考えていて気持ちが落ちていたんですが、店の中でブワっと吹き出してしまいました。やられた!この『TV Bros.』、特集のくせにいつもページ数が少なくて、今回もわずか6ページ(なのにこの表紙)。表紙ほどのインパクトはないまでも「無責任」なおいさんに少し癒されたり。なるほど、だから彼は今の時代にうけるんですねぇ。

 帰ってテレビもつけずにぼーっとしていてふと後の本棚に目をやって目についたのが舞城王太郎の小説。何冊も相棒が持ってきてくれていて借りていたもののほとんど読めておらず、授業の準備をする気もおきないので手にとって読むことに。とりあえず『煙か土か食い物』。いつの間にか文庫版も出ているんですね。舞城ファンには「いまさら」と言われるんでしょうが、仕方ありません。第19回メフィスト賞受賞作…とこの賞を調べてみると、第1回目の受賞者は、森博嗣なんですね。ウィキペディアによると「森博嗣を衝撃的にデビューさせるために設けた賞、とも言われる」とあるんですが、僕的にはこの名前も久しぶりです。以前は何冊か読んだことはあるんですが、一番最初の熱狂が続かなかった人ですね。

 『煙か土か食い物』なんですが、それに触れないのはまだほとんど読んでいないからなんですが(笑)。でも早くも気になるところが。

 ひとつは主人公が飛行機に乗る前に購入するCD。ハンソンのデビューアルバム。この『Middle of Nowhere』は確か持っていたはずなんですが、さっき探してみても見つかりません。オクラホマ州出身の兄弟バンドで、デビュー時はまさに子どもたち!という印象。けれど彼らが演奏する曲「キラメキ MMM.BOP」はポップなアイドルグループバンドという印象とはいえ、新鮮でした。ちょろっと調べてみたのですが、まだ頑張っているみたいですねぇ。

 そのハンソンがこの小説の冒頭に出てくるとは!!主人公が冒頭で唱う彼らの曲はまさに彼らの若さがにじみ出ています。でも正直すごく羨ましいこの気持ち。

君のことを考えずにはいられない/なぜなら僕は君のことが好きで、それが本物だって知ってるからだ。/死に物狂いと言えるぐらいだ。僕の目に浮かんで見えないかい/太陽が空から落ちてくるまで君と一緒にいたいってことが?


小説のなかの次の文章にも少し揺さぶられるところがあります。

人生は混沌としていて文脈も主題もなく連続性すら時として失われてしまう。そこにはそもそも理由も原因も根拠もなく結論もない。それはまるでとてつもなく眠いくせに妙に興奮している小学生のだらだらした独り言のようなもので注意して確かめればあらゆる種類の馬鹿げたことや驚嘆すべきことや退屈でありふれたことが脈絡なく羅列されていることに誰だって気づく。曖昧さと混乱、それが結構人を疲れさせるのだ。(p14-15)

気軽に取ったこの一冊がなにげにすごく興味深い一冊になりそうです。あんまり寝られない日が続いているのですが、ぼーっとする間、これを読み進めようかなぁという感じですね。また書きます。