"なんか前向き"感〜古谷実『わにとかげぎす』

 古本屋と新刊でまとめてゲットして読んだ古谷実の『わにとかげぎす』。

わにとかげぎす(1) (ヤンマガKCスペシャル)

わにとかげぎす(1) (ヤンマガKCスペシャル)

わにとかげぎす(2) (ヤンマガKCスペシャル)

わにとかげぎす(2) (ヤンマガKCスペシャル)

わにとかげぎす(3) (ヤンマガKCスペシャル)

わにとかげぎす(3) (ヤンマガKCスペシャル)

わにとかげぎす(4)<完> (ヤンマガKCスペシャル)

わにとかげぎす(4)<完> (ヤンマガKCスペシャル)

 一時期流行った稲中は結局まだ読んでないんだけど、これは何かで紹介されていてこの間思い出したかのようにまとめて手に入れた。主人公は30代の非モテフリーター。店の警備員で日銭を稼ぎながら、自分を変えようと取り組む中で巻き込まれる幸不幸。このなかで見られる「進みはのろいけど、なんか前向き感」というのが単に現代を反映しているだけではない漫画の力を感じる。漫画の非モテって、でも主人公はいい男風だったりするのだけど、この主人公はホントのブ男。けれど「なんとかしたいんだ!」という思いで突き進む。

 現状を受容して、前に進む、進もうとするというのはいうのは簡単だけどすごく難しい。いっぱい壁にぶつかりいっぱい無理をする。受け入れることと前に進むことは違うことだ。受け入れたからといって前向きになるわけではないし、前向きになったからといって受け入れたわけではない。もちろん、受け入れて前向きになることが必ずしも素晴らしいわけじゃない。けれど、じゃあどうするんだ?!となったときに、自分と真剣に向き合って受入ることで得られる何かの姿もわかる。

 わずか4巻しかない漫画だけど、その「なんか前向き感」がいいな、と思った漫画だった。