夏はロック・フェス、福岡はMCT〜西田浩『ロック・フェスティバル』

曇り空続く福岡。週が明けたら梅雨も明けるかなぁと待ちわびながらもムシムシジメジメ梅雨梅雨。
体調の芳しくないのはやはり梅雨のせいだ!ということにして、梅雨明け→夏を待つ日々。
夏といえばロック・フェス……って一度も行ったことがないけどね(大笑)。あと5日もしないうちに
フジ・ロック・フェスティバルが始まって、来月半ばにはサマー・ソニック。待ちわびている
洋楽ファンも数多いに違いない。個人的にはついでに福岡までアーティストが足を伸ばしてくれると
嬉しいのだけど(笑)。そんなベストなタイミングをねらってこんな本が出てました。

ロック・フェスティバル (新潮新書 222)
西田 浩
新潮社 (2007/07)
売り上げランキング: 74606

「第1回目のフジ・ロック・フェスティバル以降、ほぼすべての洋楽系フェスティバルを取材」した
という、読売新聞文化部記者の西田弘氏によるもの。フジ、サマソニなどを中心に日本で行われた
洋楽系フェスの流れをザザーッと網羅した一冊。著者自身もかなりの洋楽ファンだということは
読み進めているとグイグイと感じさせられるわけですが、内容的には取り立ててグイグイと来るものは
少ない感じで、少し残念。ただ、新聞記者らしく、事実関係を中心に新書にしては丁寧に日本の
ロック・フェスの歴史が包括的に紹介されていて、そうした目的にはなかなか面白いかも。

個人的には、後半にそれほど有名ではない海外の(ちょっと変わった)ロック・フェスを紹介して
いるところが面白かった。「米国最大の音楽コンベンション」であるサウス・バイ・サウスウェスト
(SXSW)
というのは、もう20年も歴史を持つテキサス州の音楽イベントだそうで、街を挙げて、
一種のプロモーション的な位置づけで、街のあちこちのライブハウスで1500近いバンドや
アーティストが、様々なライブが行われるという。ベン・フォールズ・ファイブやノラ・
ジョーンズとかもこのイベントが爆発ポイントだったよう。ちなみに今年はもう3月に終わって
いて、来年3月に第22回目が開催されるそうだ。ちなみに東京に拠点をおくSXSW ASIAのウェブは
こちらです。

…と下記ながらふと「そういえば福岡にはミュージックシティ天神(MCT)ってのがあるなぁ」と
思い出したんだけど、SXSWとの違いはMCTは「天神の活性化と、福岡の音楽的環境の向上」を
目的として「[音楽産業都市・福岡]を実現する」ことを目指しているのに対して(参照)、
SXSWの方は「地方都市から、全米中にアーティストを売り込むには?」というスタート地点である
というところ(参照)にあるんでしょう。

面白いのは、SXSWもMCTも「音楽産業」という言葉を使ってイベントの意義を書き連ねている
ところなんですが、このあたりは少しずつ今読んでいる毛利先生の『ポピュラー音楽と資本主義』を参照項に
考えると面白そうですね。読み終わったらまた何か書くかも?!

ポピュラー音楽と資本主義
毛利 嘉孝
せりか書房 (2007/07/03)
売り上げランキング: 103285

そうそう、『ロック・フェスティバル』ですが、巻末にフジ、サマソニTHE ROCK ODYSSEY
ウドー・ミュージック・フェスティバルの出演者完全リストがついてます。さすが新聞記者と
いうか、これはこれであると便利な人がいるかもしれないなぁ。夏フェス行かれる方、楽しんで
来てくださいね!!