コドモオトナなあなたに〜伊藤たかみ『ミカ!』

もうかなりいい年なのだけれど、精神年齢が高くないんだろうか、子どもっぽいと思う。
変に大人ぶるところなんかがまさにその典型なのだけど、わかったようなそぶりを見せて、
いろんなことをスルーしておきながら、「うーむ」と悩んだりすることが多くある。
「あれ?アレはいったいどういうことだったんだろうなぁ」とあとから悩む。
だいたい「大人ぶる」なんてついつい思ってしまうこと自体が子どもっぽいわけで。
30過ぎたらこんな大人になっているだろうと小学生のころ思っていたこともほとんど何も
「なっていない」わけで、イヤまたこれこそが不思議な話だったりするんだよな、と
子どもみたいなことを思ってしまうコドモオトナなのだ。
うーん、なんかコモドオオトカゲみたいで、少しかっこいい。

ミカ!
ミカ!
posted with amazlet on 07.07.02
伊藤 たかみ
文藝春秋 (2004/04/07)
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おすすめ度の平均: 4.5
5 オトトイって結局なんだったんだろう?
4 小学生の
4 オトトイって

ロスト・ストーリー』に感化されて次に読んだ伊藤たかみ作品が『ミカ!』。
『ロスト…』を面白かったと伝えた相棒から借りた伊藤たかみ作品その1。
前の村上春樹な空気とはぜんぜん違うといわれながらも少し期待しつつ読んでみたのだけど、
ほんとにぜんぜん違った。だいたい、この作品は第49回小学館児童出版文化賞受賞作なのだ。
「児童文学」とは言っても、別に大人が読んでも十分楽しめる作品。内容はこんな感じ。

活発で男まさりのミカ。スカートなんてイヤ!おっぱいなんていらない!思春期の入口にたつ不安定なミカを、双子のユウスケがそばで見まもる。両親の別居、姉の家出、こっそり飼っていた「オトトイ」の死…。流した涙の数だけ幸せな未来が待っている。第49回小学館児童出版文化賞受賞作。

ユウスケの視点で語られる、不思議な生き物(?)「オトトイ」をなにげに中心にした小学生ライフ。
読み進めながら、あー小学生の頃こんなんあったよなぁと思いつつ、どこかで今だって場所が違う
だけで、同じ感じやないかなぁとか思ったりするところが多々あって、複雑な気持ちになったり。
その意味で、この小説は子どもを主人公にしていながら、そんな年齢の違いなんて関係ないぜ!
なんていう普遍性もまたあるような気がするわけだ。

けれど「子ども」であるということは、間違いなく新しい出会いや発見に大人以上に巡り会う。
この小説は、日々の何気ないいろんな巡り会いに敏感な「小学生」たちのいろんな心の動きを
描き出しているところが素敵だな、と思う。

それにしても、たぶん「ロスト…」とほぼ同じ時期に書かれたんだろうこの作品とのテイストの
違いは面白い。伊藤たかみの腕の良さを感じ入るところなわけだけど、他の作品はどうなんだろう?
借りた本がまだあと3冊くらい(たぶん)あるぞ。

今日は筋肉痛で一日中家にいた。しかも久々にすごい時間に起きた。
暑いのによく寝るなぁ、僕。こういうところも子どもみたいだ。コドモオトナ。