インクカートリッジは高い!

 キャノンが原告で起こしたインクカートリッジのリサイクル品特許侵害裁判は先月31日、二審で原告側の逆転勝訴となった(読売新聞知的財産高等裁判所の該当ページ)。朝日新聞が記事に書いている通り、プリンタ業界は、「必需品のインクカートリッジを消耗品として何個も売ることで利益が上がっている。インクジェットカートリッジの営業利益率は推定25〜30%。本体を薄利多売し、後から利益を回収するビジネスモデル」である。

 たとえば楽天で「インクカートリッジ」で検索すると、面白いように上から、「エプソン(またはキャノン)純正」「対応互換カートリッジ」と並んで検索結果がでてくる(例えば、それぞれ左と右の画像がそれ)。そして値段を見比べると、いわゆるリサイクル式のカートリッジは55〜70%で購入可能。さらに詰め替えとなると40%程度の価格で購入することができる。もちろん、手間をかけ、ある程度の安全性を捨象する必要はあるけれど、これを選択するというのは立派なひとつの方法だとおもう。ただ、上に書いたように、最近特に値段が安くなっている本体価格の結果がそれを反映しているのであるのだけれど。

 個人的にはヒューレットパッカード(HP)のプリンタを利用していて、エプソンやキャノンがコンビニでカートリッジが購入可能なことを考えると、それだけでHPを選んで困った・・・ということも多いのだけど、それでも本体価格が安いということに勝るものはなかった。インクはもはや個人的な使い方の問題で、それまで含めて本体を購入する。プリンタメーカーが本体を薄利多売で乗り越えようとするその思いが実はかなり高額なカートリッジに反映されていることを薄々僕たちは気づいているのだけど、その辺りは「消費者」としての選択でもある。

 東京新聞では「ある大手電機の知的財産担当役員は、特許権が守られなければ、企業は研究開発に資金を投じられないと指摘。「一般論として裁判所はやや保守的で、特許権者が敗訴することも多い。その場合には国会が特別立法してでも知的財産を保護しなければ、日本のモノづくりに打撃を与える」と話している」と書く。これは確かによく分かるが、反面、消費者の声をどのように取り込んでいけるのか?ということをもっと考えて欲しいとも思う。