南北問題解消の手段としてのWeb2.0

 毎日数時間パソコンの前に座っていて、その多くをネットで費やすことも多々ある。研究や仕事や趣味で欲しい情報をネットの海の中にザブンと浸かって泳ぎ探す。けれど、もはや「探す」という行為だけでは時間の浪費に終わってしまうのも事実。どれだけ「欲しい」(ここポイント)情報をたくさん集めて、それを使うか?が問題で、案外「使う」ことまでに辿り着かないことが多々あることは結構共有できるんじゃないかな。

 で、ここ1年くらい話題になっている「Web2.0」へと自然と辿り着くわけだけど、これをちゃんと使うってのは結構意識的じゃないと難しいなぁと改めて思う日々。はてブだとか、はてなRSSなんていうWeb2.0的なものを使ってるけど、これもちゃんと「自分で作る」ことが必要なわけで、それはmixiだって一緒だろうよね。情報はたくさん回っているけれど、案外自分が欲しい情報はないわけで、そんなモノを手に入れようと思えば、自分もその「与える側」に回って「一緒に作っていかなきゃいけない」わけ。そうじゃないと、いくらツールとしてのWeb2.0を使っていても結局Web1.0的なネット世界にいることになる。

「んー、よくわかんないな」って人は上の『Web 2.0 ツールのつかいかた』でも読んでみてよ。

 「ツール」としてのWeb2.0的世界が広がっているけれど、読み進めるうちにそれを自ら進んで「使う」必要性が見えてくると思うんだよね。そこから新しい世界が広がることも。

 このなかでと梅田望夫さん小飼弾さんの「Web2.0をめぐる往復書簡」が載ってる。なかなか読み応えがある。『Web 2.0 ツールのつかいかた』を手に取った人がいたら是非読んでみて欲しいなぁ。

 持っていながらちゃんと読んでなかった梅田さんの『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』。

 上の『つかいかた』にも紹介されてるんだけど、ここにこんな記述がある。

ネット世界で、あるトラフィックを集めて月に500ドル稼げるとすれば、そのサイトを発展途上国の人が運営していても500ドル、先進国の人が運営していても500ドルである。ネット上に地域という概念は存在しないからだ。これは発展途上国の人にとっては天恵とも言うべき仕組み。(p.160)

 もちろん、ネットロア『世界がもし100人の村だったら』にもあるようにネット環境のインフラ整備は十分とはいえないどころか、まだまだだ。ただ、そんな状況を全部ひっくるめてもなお、梅田さんの見る「今後の世界観」はある種のグローバリゼーションにおけるブレイクスルーのような気もするね。

 ちなみに前掲『つかいかた』ではこんなことも梅田さんは書いてる。「南北問題解消の手段としてのWeb2.0」。なるほどねぇ。

発展途上国の問題は、理想と比較してどうかという議論はあまり意味がなく、リアル世界が現時点で持っているツールとの比較で現実的に議論しなければならないと思っています。例えばODAのカネが、途上国政府を頂点とする階層構造の上からザブーっと流されて、末端の個にいきわたるまでに莫大な不合理と無駄がある。そんな状況と比べてどういう可能性があるのか、という議論をするのが本質的だと思います。(p.19)

 世界観としてのWeb2.0的見方は非常に刺激的だなぁ。