『ポル・ポト〈革命〉史』講談社メチエ

 今週火曜日に行われる予定のポル・ポト派特別法廷に合わせたわけではないけれど、たまたま今月初めに北九州市のやっている年長者大学で話をさせてもらう機会があって少しカンボジアのことを話したこともあって、今月頭の集中授業が終わったあと、買った本の1冊。

ポル・ポト〈革命〉史―虐殺と破壊の四年間 (講談社選書メチエ 305)

ポル・ポト〈革命〉史―虐殺と破壊の四年間 (講談社選書メチエ 305)

 個人的にはもっと早く読んでおけば良かった一冊。ただ2004年の初版から版を重ねて今回読んだ7刷には、今度の特別法廷に関する記述が少しだけ加えられているところもあって、書籍は出会ったときが読みどきだというのがモットーなので(その割には積ん読もえらく多いが)いいんだろう。

 ポル・ポトがなくなっている今、ポル・ポト政権時の中枢にいた人たちは彼と同じく年を重ね亡くなっているわけだが、今回の特別法廷の開催される意義は大きい。もちろん、朝日新聞の連載に掲載されていたように問題もたくさんあるだろうが、記事の中にあった「間に合うかどうかより、真実の追究や正義のため最大限の努力をしたということにこそ意味があるのではないか」(2/13朝刊)というのは本当にそうだろうと思う。

 この本を読んでいて改めてポル・ポトらによる「革命ごっこ」による150万人以上ともいわれる人の命が失われたというようなことは、今後もあってはならないし、僕が僅かながら知っているカンボジアが抱える問題を生み出したものに対して、真摯に取り組むことが大切だろうと強く感じる。

 それにしてもあまりにも幼稚で杜撰で、途方もない残虐さをもつ集団としての人間の弱さを強く思う。同じくゲットした『ポル・ポト―ある悪夢の歴史』をまた少しずつ読み進めながら、特別法廷でのトゥールスレン収容所元所長の行方を見ながら、考えたいと思う。