確かに紀伊國屋にはレタスはないけれど。

どれかなくなるかなぁと思っていたら、紀伊國屋が撤退らしい…。

紀伊國屋書店が天神から撤退−郊外で大型書店展開へ

天神経済新聞 - 広域天神圏のビジネス&カルチャーニュース

紀伊國屋書店(本社=東京都)は、天神コア内にある福岡天神店(福岡市中央区天神1、TEL 092-721-7755)を閉店することを決めた。閉店するのは2007年3月末で、閉店の理由について同店は「店舗が古く手狭になり、また、より幅広い年代のお客様に来店してもらうため、ゆめタウンの出店を計画しており閉店を決めた」と話している。(以下略)

ジュンク堂ができてから、今まで以上に「福岡に来て良かったなぁ」と思ったのが、この大型書店が天神にぐっと集まってきたこと。とりあえずいちばん好きな丸善に行く。コンパクトに良書がまとまっていて「これを買う!」という目的がなくても見てて満足。さらに3階には文房具屋さんもあるしね(笑)。新刊書以外で目指すものがあるときはジュンク堂。品揃えなら、やっぱりあの規模は他とは歴然とした差がある。あ、あととにかく暇つぶしならここかなぁ。

……と考えてみて、紀伊國屋はやっぱり3番手か。博多駅前の紀伊國屋の広さと充実さは確かにすごいんだけど、改装後の天神紀伊國屋書店は確かにすこしインパクトがなくなった。ただ、ここは「本が読みたいっっっっ!」って熱望しているときにいくと、他のところとは違ったこだわりのある(感じがする)専門書が少ないながらに並んでいるような気がして、ここで買えばいーじゃんと思えるお店。その意味では、すごく貴重なお店だった。

ゆめタウン博多」に来春以降に900坪もの店舗を開店するそうで、「大きな本屋さんはジュンク堂は天神だし、紀伊國屋博多駅前だから、車では行きにくいんだよなぁ」という、僕も時々思う気持ちをうまく解決してくれるものになるんだろう。ちなみに設計は、有名建築家にお願いしているそうだ。

2002年に「万里の長城コミューン」でヴェネチア・ビエンナーレ銀賞を受賞するなど世界で活躍しているシンガポールの建築家ケイ・ニー・タンさんが担当する。ケイ・ニー・タンさんは同店の海外店、国内では札幌本店なども手掛けている

少しは満足する郊外店がまたひとつ増えるのだろうけれど、天神の書店巡りは楽しみが減る結果に。よくよく考えれば、郊外店は夜遅くにしか行かないんだよなぁ。その意味で、福岡では「黒木書店」とかには大変お世話になっております。

そういえば、紀伊國屋といえば、村上春樹の小説『ダンス・ダンス・ダンス』に出てくる「紀ノ国屋のレタス」を思い出す。

でも僕は紀ノ国屋で買い物するのが好きだ。馬鹿げた話だけど、ここの店のレタスがいちばん長持ちするのだ。どうしてかはわからない。でもそうなのだ。閉店後にレタスを集めて特殊な訓練をしているのかもしれない。もしそうだとしても僕は全然驚かない。高度資本主義社会ではいろんなことが可能なのだ。(文庫上巻, p.235)

生まれたところでも当時生活していたところでも「レタスの買える紀ノ国屋」なんてものはなく、頭には紀伊國屋書店(これですら近くにはなかったけれど)が浮かんでいて、違うとはわかっていながら本と本の間にあるレタスをイメージしておかしかった。だからか、なんとなく紀伊國屋というのは3番目であっても天神に必要な書店だった。返す返す残念。