終戦記念日に思う『ハウルの動く城』

 終戦記念日。やはり小泉は靖国に朝から参拝していたようで、昼のニュースはずっと靖国問題ばかり。個人の信教の自由は確かにその通りですが、先達の思いや現在の日本や世界の戦争と平和を省みるとき、わざわざ靖国まで行かないとできないってのが幼稚ですなぁ。アメリカの小売価格ではひとときの落ち着きを見せているガソリンですが(日本経済新聞記事)、中東にその石油資源の多くを頼っているにもかかわらず、ようやく停戦を迎えたレバノン紛争に何も出来ずにいるのがこの国で、古の先達に思いをはせる一方で、今を生きる地球上の仲間たちは多く亡くなっています。

 そんな終戦記念日にこんな記事がありました。

戦争起きたら「率先して戦う」 日本41% 中国14% 韓国10%(戦争起きたら「率先して戦う」 日本41% 中国14% 韓国10% (西日本新聞) - goo ニュース)

 日本、中国、韓国3カ国の青少年のうち、「戦争が起きたらどうするか」との質問に「率先して戦う」と回答した割合は日本が41.1%と最も高く、中国(14.4%)、韓国(10.2%)と大きな意識差があることが、3カ国の研究機関による国家観共同調査で分かった。日本の青少年は戦う意思が強い半面、「まず避難する」も38.4%と、3カ国中トップ。中国は「できる役割を遂行する」が55.7%を占め、韓国は「状況を見て決める」(34.4%)と「できる役割を遂行」(30.8%)が圧倒的に多かった。「外国に逃れる」は日本1.7%、中国2.3%に対し、韓国は10.4%と高い割合だった。(中略)調査は、韓国青少年開発院など3カ国の研究機関が中・高・大学生の男女計約3000人を対象に実施。「自分の国を誇りに思う」との回答は中国が60%に達し、韓国(37.7%)と日本(21.5%)を大きく上回った。日中韓を中心とする「アジア国家連合の結成」には韓国の青少年の63.5%が賛成し、中国(53.1%)、日本(45.3)よりも積極的だった。

 なんだかんだとかなり引用してしまったけど、この調査結果が見せるものは「日本(人)ってのはおもろいなぁ」ってことだ。

 戦争が起きたら41%が率先して闘うくせに、自分の国を誇りに思うのは2割程度しかいない。4割が避難しようとするけれど、外国に出るのは僅か1.7%ほどであとはこの国の中で逃げまどうらしい。けれど、改めて書くまでもなく日本には2割ほどしか誇りに思っていないのになぜこの国にとどまろうとするのだろう。「闘うのは国のためじゃない」のであって、家族だとか恋人だとか大切な人を守るために闘うということなのだろう。ただ、そのように一生懸命闘ってもその成果は国に帰属してしまうし、闘っても大切な人は命を奪われてしまうということは容易に想像可能だ。戦争の相手ですら、同じような状況に陥っているわけで、それを想像することなく自らの思いだけで突っ走ったあと、大切なモノを失っていることはおうおうにある。

 もちろん逃げればいいわけじゃないかもしれない。大切な人を全員伴って逃げるなんて不可能だ。第一、この国は海に囲まれてしまっている。それに「人の命のやりとりをする戦争をする」という判断を下した政府に対する「責任」をあまりに自覚できていないといわれるかもしれない。

 どちらが正しいなんてことはない。だいたい戦争というもの自体が正しいわけではない。必要悪だという場合があるかもしれないことは、正当防衛論議と同様に想像可能だけれども、だからといって「正しい」わけではない。

 お盆前に宮崎駿夫監督の映画「ハウルの動く城」を見た。

 一見勇猛果敢な、けれど実は非常に臆病なハウルがソフィーをはじめとして大事な人を守るために、戦争を闘うそれぞれの国に加担しないまでも闘いに入るなか、ソフィーが取る手段は単なる「逃げ」ではなかった。己に降りかかる全ての責任を受け入れて、それを1つ1つかみ砕きながら、懸命に逃げる姿を上の調査で「逃げる」とした日本人の4割はどのように見るだろう。ソフィーの「逃げ」は戦いだった。文字通り「人の命」を守るための闘いだった。4割の日本人があの「逃げ」をイメージして答えたとすれば、もしかすると日本はすごく素敵な国なのかもしれない。